塗装コラム

2025.07.02

No.17 住宅塗り替え時の実際のケレンはどのようなものでしょうか

一般的な工程は次のようになります

素地調整 (高圧水洗+ケレン作業)  ➡ 洗浄・清掃  ➡ 乾燥・養生  ➡ 塗装開始

塗装現場において、高圧水洗機で水洗いをしている光景を目にすることがあります。これは被塗装面を入念に洗浄している作業です。
高圧水洗は被塗装面に水圧をかけながら洗浄するため、表面の汚れ除去はもちろん被塗装面の密着が弱い塗膜の浮きや剥がれを取り除くことができます。
水洗いも同時に行えるため「高圧水洗 = ケレン」のイメージが強くなっています。

初回の塗り替え現場においては、ケレン作業は高圧水洗作業のみで十分なケースが大半です。作業工程を「水洗い」と表記することがあります。
高圧水洗後、表面状態が良好(活膜)であれば乾燥させた後は塗装作業に移ります。
このようにケレンが高圧水洗工程のみのケースは4種ケレンに該当し一般的な下地処理となります。

一方、塗り替え履歴がある現場においては、塗替え塗膜が素地面との密着不十分により塗膜内部の膨れや剥がれが起きている場合があります。
この場合は塗膜も厚くなっているので、高圧水洗だけでは塗膜の浮きや剥がれの除去が困難なケースがあり、追加のケレン作業が必要になることがあります。
サンダーのような電動機具を使用する場合は2種ケレン、皮スキ・スクレーパー・ケレン棒等の手作業器具を使用する場合は3種ケレンに該当します。

いずれの場合も入念に高圧水洗を行った後、表面状態をしっかり観察し、追加のケレン作業の必要性を判断します。
必要と判断すればさらに2種・3種ケレンを実施することになります。高圧水洗だけの場合はおおむね1日作業。高圧水洗に加え2種・3種ケレンの実施となると数日作業となる場合もあります。ケレンの程度が塗膜の耐久性に大きく影響を与えるためケレン作業は重要です。

次回はケレン工程の課題や問題点についてお話します。