住宅の塗り替えにおけるケレン工程は水洗い作業で十分な場合が多いとお伝えしました。
その理由として、初めての塗り替えにおいては塗り替え前の被塗装面が変褪色や色あせ・チョーキングなど紫外線によって塗膜表面が劣化したケースが多く塗膜と躯体の密着性の問題(膨れや剥がれ)はほとんど見られず高圧水洗機による水洗いで大丈夫と言うことになります。
一方、被塗装面の塗膜がなんらかの影響で躯体素地と密着が弱く、塗膜の膨れや剥がれがあるケースではどうでしょうか。塗り替え前に被塗装面に膨れや剥がれが目視確認できるケースにおいては2種または3種ケレンを実施し脆弱な塗膜を除去します。
すこしやっかいなのは、高圧水洗後に塗膜の膨れや剥がれが誘発されるケースです。塗装前はケレン工程は水洗いのみでOKとしていても、水洗後に塗膜の膨れや剥がれが出てくる場合は、2種または3種ケレン作業で脆弱な密着面を除去する作業が必要になります。
塗膜を剥がす作業は大変で、手間と時間を要します。
被塗装面の状態確認を正確に行い作業に必要な時間や費用が確保されたら問題ないのですが被塗装面の状態を完全に把握するのが困難であるため、適正なケレンが行われないことがあるかもしれません。今では高圧ジェットケレンと言われる超高圧な水洗機にメディア粒子を入れた1種ケレンも登場し、住宅の塗り替え時に活用されています。
水洗と同時に塗膜の除去も可能な一石二鳥の工法ですが、専門業者による専用機械での工事となるため塗装作業に付随するケレン作業ではなく個別の作業として日数や費用が増えることもあります。
ケレンは水洗い、塗膜除去、高圧ジェットケレンとさまざまな工法があり手間と時間と費用はまちまちです。塗装工程での前準備であるケレン工程がサブ作業にとらわれがちなことと、時には手間と時間と費用がかかり見落とされたり、ショートカットされがちなことが課題と言えるかもしれません。
2025.08.07