塗装コラム

2025.11.05

No.20 下地の種類によって塗装仕様が違うのはなぜ?

塗料を取り扱っている弊社の立場で、塗装する上での懸念事項は塗料の不具合によって、塗りづらいとか塗れない。塗装後の仕上がり外観が悪い。経年で塗膜に不具合(変褪色、剥がれ、膨れなど)が発生していると言われることではないかと思います。 

塗装工事において、被塗装面の素地種類(旧塗膜層、金属系、窯業系、木質系)と状況(錆や風化、表面の凹凸、吸い込みの有無)に応じた、下地処理工程と最適な塗装系を組み立てて、前述の懸念の低減に努めます。
被塗装面の素地と状況に対応するには、1コート仕上げではリスクが大きいため、2コート以上の複層塗装系になります。

塗装系とは、用途に適した塗料選定と積層的な手法で完成塗膜を形成させて、塗装の目的や要求事項を満たすことと考えます。

そういう意味では、3コート仕上げ(下塗り+中塗り+上塗り)が一般的ではないでしょうか。
下塗りは、対下地性能の役割が大きく、防錆・耐アルカリ・耐水の化学的機能に加え、下地との密着性能や吸い込み防止、平滑化などの表面改質機能も求められます。
中塗りは、下塗りと上塗り双方への密着と上塗り色の共色機能も兼ねます。
上塗りは、塗装系の外観を決定する美観機能はもちろんのこと、耐候性や耐久性が求められます。
これらすべての工程は、最適な塗膜層を形成するために行う様々な塗装仕様や塗装系が組み込まれることになります。

将来的にはこれらの課題を解決できる、単一材料の1コート仕上げ塗料が登場するかもしれません。